2018年1月17日水曜日

女性の頭痛


片頭痛は、何らかの要因によって頭の血管が拡張し、血管のまわりの神経が刺激されることでおこります。片頭痛の発作期は、血管の周囲に炎症がともなうため、ズキンズキンと脈打つようなひどい頭痛となります。

とくに、こめかみにある側頭動脈が拡張して神経を刺激しているので、片側のこめかみから目のあたりに頭痛がおこります。頭痛がおこる側は、人によって異なり、両側が痛いこともあります。

女性にみられる片頭痛は、「生理、首肩こり、冷え性」がセットになっています。


1.生理

片頭痛の誘発する原因の一つとして、女性ホルモンであるエストロゲンが深く関与しているといいます。生理時にエストロゲン(女性ホルモン)が急減すると、頭の血管が拡張して片頭痛が引き起こされます。


2.首肩こり

ひどい首肩こりは、三叉神経を刺激して片頭痛を引きおこします。とくに女性は、なで肩や首の筋肉が細いことが多く、不良姿勢による筋肉への負担が男性よりも大きくなります。


3.冷え性

“冷え”という概念は、東洋医学に由来するものです。漢方薬が処方される現代医学においても、冷え性と頭痛の関係は示唆されます。熱を生産する筋肉量が少ない女性の方が、より冷えを感じます。

片頭痛とともに、冷え性に関連する腰-骨盤-足首のツボ・反応点に、著明な圧痛が認められます。



片頭痛と女性ホルモン

ライオン株式会社(2014)による「20〜40代女性の生理と頭痛に関する意識調査」では、この年代の女性が1年を通じて感じている不調の1位が「肩や首がこる」50%、2位が「手足が冷える」35%、3位が「頭痛」32%とあります。

頭痛を感じている女性のうち、約8割が生理前後に頭痛を感じています。生理を引き金とする頭痛は、片頭痛だといわれます。

エストロゲンの分泌量は、生理周期のなかで増減します。妊娠しやすくするために、生理の終わり頃から分泌量が増え、排卵直前にピークを迎えます。排卵が過ぎると減少し、生理が始まる頃には、エストロゲンは体内から急激に減少します。

生理時にエストロゲンが体内から減少すると、脳に影響を与えて、神経伝達物質であるセロトニンが急激に減少します。セロトニンには、血管収縮作用があります。そのためセロトニンが減少すると、反動で脳内の血管が拡張します(似田,2015)。

→ 血管が拡張することで、脈拍に一致した拍動性頭痛がおきる
→ 血管の透過性が亢進するとともに、痛み物質(プロスタグランジン、ブラジキニン)が放出される
→ 血管に浮腫がつくられ、次第に血管壁の厚みが増すなかで、拍動は減弱する
→ かわりに持続的な頭重感が現れる

血管が拡張して透過性が亢進すると、痛み物質(プロスタグランジン、ブラジキニン)が放出されます。とくに側頭動脈が拡張して、こめかみから目のあたりに拍動性の頭痛がおきます。

五十嵐(2002)は、頭痛患者22人について、3ヵ月間の頭痛日記より頭痛発作回数を調べた。その結果、頭痛は月経の2日前から3日目に多いことを明らかにしています。



片頭痛にみる傾向

片頭痛は、女性に多くみられます。一般に、思春期から閉経期までが最盛期で、更年期を過ぎると軽減します。子どもの頃から始まり、家族歴が認められています。

性格として潔癖、几帳面、完全主義、自尊心が強く、野心家、能力が高いといわれます。ストレス・精神的緊張によりセロトニンが過剰に分泌された後、セロトニンが代謝されて急激に減少しても、生理時と同じような経過で片頭痛が発現します。

ただし、休日やリラックスしたときも片頭痛がおこります。血管を急に拡張させても収縮させても、どちらの変化も片頭痛を誘発するかもしれません。



文献

五十嵐久佳(2002)月経に伴う片頭痛.診断と治療.90(6);p.877-882.
似田敦(2015)頭痛.現代針灸臨床論Ⅰ.12.22版.
ライオン株式会社(2014)20〜40代女性の生理と頭痛に関する意識調査.https://www.lion.co.jp/ja/company/press/2014/pdf/2014094.pdf,(参照日2017年3月6日).
塩川満章(1999)臨床カイロプラクティック.ルネッサンス・ジャパン.


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